山本は1974年頃から蔵書票の制作にも取り組んだ。ここでは、蝙蝠とともに空を飛ぶ魔女、死神と踊る少女、一角獣に寄り添う女、薔薇と砂時計など、ロマン主義や世紀末美術にしばしば登場する象徴的イメージが題材となっている。しかし、それらは単なる引用ではなく、山本独自の幻想的想像力の中で新たに組み替えられ、親密な小画面に凝縮されたヴィジョンとして定着している。小さな蔵書票の中に表れたこれらの主題は、彼の銅版画に通底するエロスと死、生と超越への志向を端的に示すものであり、同時代的な版画表現の中でも独自の位置を占めている。